快楽思考回路

おもしろさについて考えます。

【フリゲレビュー】天使心母

天使心母 というゲームがめちゃめちゃ面白かったので紹介させてくれ!

http://muspell.raindrop.jp/game/lamiel/index.htm

剣。盾。鎧。アクセサリー。属性。状態異常。

ボス狩り。レア狩り。育成。アイテム収集。やりこみプレイ。

スキル振り。図鑑埋め。実績解除。攻略wiki。裏ボス討伐。

繰り返すその人生の行き止まりのひとつが、きっとこんな形をしていて――

私はそこにいる。

どんなゲーム?

うきうきハック&スラッシュ

基本システムは「4人パーティで塔(ラダー)を登っていくRPG」という一般的なもの。Space not farのゲームは「ノンフィールドRPG *1 」というシステムをよく採用しており、一定回数の連続戦闘を勝ち抜くと次の階に登っていく。主人公を除くパーティは12人 *2 の中から割りと自由に *3 編成を組むことができる上に、後述する主人公の能力も相まって様々なパーティ編成を楽しむことができる。

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▲ノンフィールドRPGといいつつダンジョン選択画面はフィールドマップ。最初は1階からだが、次第に上の階に行けるようになるぞ。各階に出てくる発見済みの敵情報が地味に嬉しい

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▲ダンジョン内の様子。右上に現在の地点が表示されている。例えばこの画像なら4Fで、5回戦闘するうちの1回を終えたところ。全滅すると道中で得た戦利品が消えてしまうので、ヤバいときはそそくさと帰還だ

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▲拠点に戻ると仲間たちが寛いでいる。アイテム交換や強化、作製をしてくれる仲間もいるぞ

仲間はどれも個性的で、HPが満タンのときにやたら強い「勇者」やMPの代わりにHPで技が使える妖精「リゼ」、とにかく猛毒を撒くことに特化した「マツリ」など、使い所が難しいキャラが盛りだくさん*4。それでもバランス調整はしっかりできており、適当にお気に入りのキャラを3人連れて行ってもクリアできる(はず、試してないけど)。

なにが面白いの?

全部!

…と言いたいところですがそれだとレビューにならないので、各要素について述べていきます。

ガチャ

ジャンルでは「ハック&スラッシュ*5となっていますが、このゲームではレア装備をガチャで引きます。今風ですね!敵がドロップする鍵を使ってランダムなアイテムが1つ手に入ります。ちなみに確定で装備が出る10連ガチャも!そして時折、通常装備よりちょっと強いレア装備(((めちゃ強いSSR装備とかはないのでリセマラはしなくても大丈夫ですしイライラしながらガチャを回すこともない安心設計))が出たりします。やはりガチャの抽選はどんなゲームでもプリミティブな欲求が引き起こされて楽しいです。普通のハクスラのように狙った装備を目指して同じ敵を延々と倒していくのはどうしても途中で飽きやダレが発生しますが、このゲームのガチャ素材となる鍵は多くのアイテムが共通してドロップするので「普通に攻略していればいつの間にか溜まっている」という感覚でガチャが引けるのもグッドです。

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▲ガチャガチャ。ラダーを登ってくと鍵が鉄>銀>金とランクアップしていき、より強いアイテムが出てくるようになる

強化

ガチャといえばダブり、ダブりといえば合成強化システム!というわけで多くのソシャゲよろしく、合成強化システムも踏襲しています。同じ装備を2つ合わせることでプラスの数字を増やしていくことができます。これのおかげで「うわ~、またダガー引いちゃったよ。いらないアイテムがどんどん増えていく~」みたいなことにはなりません。最高ランクの装備を作るには同じ装備が1024個必要なので、どんな雑魚装備でもどれだけあっても全然足りない!!*6 強化値がしょっぱいのが玉に瑕ですが、レア武器の価値を守るためにそこはご愛嬌。

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▲強化。+10まで行くと強さが一気に跳ね上がるって噂を聞いたんですけど本当ですか?

作製

RPGではおなじみの作製システムも完備!ガチャと違って狙ったアイテムが手に入るので、現在苦戦している敵にうってつけの装備をダイレクトで入手することができます。装備が完全ランダムドロップだとマジで辛いですからね*7。「強敵を倒したい」「そのために特定の装備を作りたい」「そのために素材を落とす雑魚を倒す」というサイクルがとても分かりやすく、常に目標が見えているのでモチベを保ちやすいのが素晴らしいですね。

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▲炎属性のダンジョンにはこれ!ということで3つ作ったけど、当時のパーティはメイジー(メイド服しか着れない)とリズ(防具装備できない)がいたので2つしか使わなかった思い出の一品。

戦闘バランス

このゲームではハードコアな初見殺し敵がどんどん出てきます。しかし初見殺しと言うものは得てして対策を積めばただの雑魚、「この敵はどうやれば倒せるか」というのを考えるのはこのゲームの最大の醍醐味といえるでしょう。パズルを解きながら進んでいくような感覚はゲーム終盤まで戦闘の気持ちよさを提供します。状態異常を扱う敵にはそれを無力化する装備を。属性防御が高い敵には一番よく通る武器を*8。強力な全体攻撃には味方をかばう技能を*9。尖った性能の敵を倒すために尖った性能の味方に尖った性能の装備を用意して挑むのです。

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▲かなり考えるゲームなので、戦闘中にも様々な情報が閲覧できるようになってます。物理攻撃に強いストーンデビルの弱点も丸見え!

スナッチ

敵に応じたパーティの構成を考えることがこのゲームの肝、ということを表す最大の象徴が「スナッチ」システム。主人公だけが持つ能力で、HPの減った敵の身体を奪うこと、その敵に応じてステータスや技を変化させることができます。多くの味方はアタッカーやタンク、援護などの役割が決まっていますが、主人公はスナッチした敵によってどんな役割でもこなすことができるのです。スナッチした敵は装備の形で表され、一度スナッチすればいつでも装備しなおすことができる親切設計。大抵の敵は ー特性ー と呼ばれるユニークな特殊能力を持っているので、主人公はどのような役割にもなれると言いつつ「主人公しかできない仕事」をしてもらうこともしばしば。新しい敵に会うたびに主人公の可能性が広がっていく成長感は他RPGではなかなか味わえません。もちろんボスもスナッチできますよ*10

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▲情報ページからも詳細を閲覧できますが、自分は手元のエクセルに全部メモりました

ステータスアップアイテム

このゲームむずい!敵の倒し方わからん!とお悩みのあなたにも、もちろん救済措置が用意されています。イージーモードで始めてもいいですが、フタモリ先生のところで交換できるステータスアップアイテムもその一種。一番低級のガチャで出るゴミみたいなアイテムを大量に回収しつつ永続ステータスに変換してくれます。ゲーム終盤でもこのような形で低級ガチャの価値をしっかりと用意してくれるシステムは美しい。でもゲームが進むたびに必要なアイテムの数はどんどん増えていくため全ステータスを最高 *11 にするのは果てしない時間がかかりそうです。ご利用は計画的に。

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▲保健の先生が生徒に酒くれちゃっていいの!?

EXエネミー

ある程度ゲームが進むと、ダスト *12 稼ぎやステアップアイテム交換のために低階層を延々と歩き始めることがあるかもしれません。ずーっと同じボタンを押し続けるのはダルい…そんな退屈な思いはさせません。極稀に突如としてEXエネミーと呼ばれる強敵が現れます。これがまたなかなか尖った構成で、稼ぎ用の装備で下手に戦うと全然歯が立ちません。しかし倒せばレアアイテムがもらえたりするので、大量のアイテムを抱えた状態でついつい戦ってしまうのです*13。クソー、次は倒す!!

ネタバレが激しいので画像はナシ!

実績

普通、実績システムと言えばコンテンツ嵩増しだったり解除のダルいものがあったりとあまりいい印象がありませんが、このゲームでは「ごほうびチェスト」という名称で、特定の条件を満たすとアイテムやダスト(お金や経験値みたいな概念)がもらえるようになっています。へんなことをしないと達成できないものはほとんどなく、普通にプレイしていればほとんど回収できるでしょう*14。自分がこのブログで過去に書いた実績機能に関する記事ではエンドコンテンツとしての役割を話したのですが、天使心母ではあくまで「短期的な目標とささやかな報酬」に徹しており、存在感はあれどストレスにならない最高のポジションに位置しています。

pleasure-circuit.hatenablog.com

ユーザーエクスペリエンス

Space not farの作品全般に言えることなんですが、とにかくUXがいいんですよ。拠点に戻ってきたときに真っ先に行くであろうガチャを回せる勇者やアイテム作製できるメイジーのところには、上キーを押しっぱにするだけで到達できます。自動戦闘で延々とアイテムを回収しているときも、戦闘継続も自動戦闘も右キーだけで選択できたり*15、ダンジョン選択マップでは全てのダンジョンに1回曲がるだけで到達できたり。余計な入力のロスが極限まで減らされていて、細かい所の気配りを感じます。不要なストレスを完全になくすために「ユーザーは何をしたいか」についてしっかりと考えられている印象です。

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▲一番お世話になる2人のところに一番行きやすい。ごほうびチェストも経路上にあるし。

情報ページ

親切心はUXのみならず、メニュー内にある情報ページにも盛り沢山。一度でも遭遇した敵は能力値や使用技などが閲覧できるようになるので、強敵に何度もぶつかって調査して…といった余計な手間を挟まずにじっくりと醍醐味であるパーティの構成の検討にのめり込むことができます。アイテムの抽選確率*16もばっちり明記で消費者にも優しい。また、アイテム図鑑の方からも「このアイテムは誰が落とすか」が閲覧できたり、技能図鑑では技能を使える味方や使ってくる敵が表示されたりするのが地味に便利だったりします。

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▲アイテム収集率まで見えてしまう。ごほうびチェストの実績は200個までで終わりですが、こういうのあるとやっぱり全部集めたくなるよね

フレーバー

そうそう、情報ページではアイテムや武器のフレーバーテキストや敵キャラの余談も見ることができます。これがまた小ネタの宝庫で、テレビゲームフリーゲームTRPGTCGに定期更新ゲームまで様々なジャンルのゲームからネタが集められています*17。ゲーム好きなあなたなら、ある程度は分かるネタがあるはず。

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フレーバーテキストが一つひとつ細かい!これ254も考えるのめちゃ大変ですよね

売り方

こんなに素晴らしいこのゲーム、な、ななななんと、 無料で遊べちゃうんです! やべぇ!!このゲームをクリアして満足しきったあなたには、この「天使心母補遺」を購入する権利があります。補遺は各キャラクターの裏話やアイテムのネタ元など、このゲームを更に楽しむための情報が盛り沢山!これは個人的な感覚ですが、その人がどれだけいいものを作っていても「無償の寄付」って精神的にしづらいんですよね。しかしなにか対価があれば「ゲームも楽しませてもらったし、裏話を読むためにリアルソシャゲガチャ1回分の課金はしておきたいな」という気分になりやすいのです。これを読むために、まずはクリアしましょう。

muspell.booth.pm

▲このBOOTHというサイトでは別に価格以上の金額を払ってもいいよ?というシステムも用意されています。君が楽しんだ分だけの額を入れてくれ!

まとめ

  • 天使心母をオススメしたい人
    • 強敵に打ち勝ったときの快感がたまらない
    • 敵の弱点を研究して見つけ出すのが大好き
    • 俺だけの最強構成を作りたい
    • 進むか戻るかのスリルを味わいたい
    • ただでガチャガチャ回したい
    • まずは無料で遊んでみたい
  • 天使心母をオススメしない人
    • 何も考えず敵を蹂躙したい
    • ガチャという言葉にめちゃくちゃ嫌悪感がある
    • パソコンを持ってない
    • 時間がない*18

やろう!天使心母!!!

*1:自由に移動できるマップがない代わりに「前に進むか撤退するか」を選択し、一定歩数を進むことで次のステージに行けるシステム。どんどん減っていくHPの中でステージを踏破しきれるか、それとも戻るべきかのジレンマが楽しい!ステージの最後ではボスが出たりする。アンディー・メンテステッパーズ・ストップなどのゲームにもよく見られるので天使心母が気に入ったら是非!

*2:ヒントページを見ればわかるけど隠しキャラアリ

*3:各キャラにコストが設定されており、パーティコストを超えるような編成は組むことができない。でも最終的には全員入れれるようになるから気にしなくて大丈夫だよ

*4:もっとわかりやすいキャラもたくさんいます!

*5:一般的に「敵を倒してレア装備手に入れてもっと強い敵を倒してもっと強いレア装備を手に入れて…」を繰り返す系のゲーム、という認識

*6:自分はクリア時で一番ランク高かったのが+6なので64個ぐらい集めた計算になります。1024個とか無理じゃね…?

*7:とはいえ序盤に作れるものは装飾品だけですが。銃専用技や家庭用品専用技がなかなか使えない!

*8:このゲームでは物理も魔法も3属性ずつあります。多すぎず少なすぎず。属性を上乗せする技もあるのでパーティ構成で詰むこともあまりありません

*9:さざれの安心感は半端ないですね

*10:スナッチ時は敵を即死させれるので、ボスによっては「うわ、倒しきれなかった!もうスナッチに賭けるしかない!」みたいな状況でゴリ押したりすることも

*11:5種類のステータスごとに10回ずつまでしか増加させられません。何個使えばいいんだろう…という悩みもご無用

*12:お金や経験値のような概念

*13:もちろん負けて全てを失うまでがテンプレ

*14:全滅だけはなかなか回収できませんでしたが、報酬も事前に教えてもらえるため「わざわざ時間をかけてまでやる必要はない」ということが分かるので安心して放置しています

*15:そしてうっかりEXエネミーにぶつかってアッッ死んだ

*16:ドロップ率のことです

*17:最初に持ってる装備がトイナイフですからね。ママ…!!

*18:公称プレイ時間15時間らしいですが僕は4,50時間どっぷり遊んでしまいました

アクションゲームの2つの軸について

アクションゲームが苦手な人の話

僕はアクションゲームがとても苦手です。

少なくとも、自ら望んでプレイしようと思わない程度には、俗に言う「アクションゲーム」と呼ばれるものが苦手です。

でもSplatoonは楽しいのでプレイします!

ここでクイズ!なぜ私はアクションゲームが苦手なのにSplatoonを楽しんでいるのでしょうか??

まぁあのゲームはアートワークも音楽もいいしインクの質感もいいしリプレイ性も高いしバランス調整もそこそこ頑張ってるし捨てるとこはハード以外ないんですが、そういうところを全て除いても「 アクションゲームとして万人受けするシステムが構築されている 」からなんですね。

そもそもアクションゲームとは

アクションゲームと言えば、何を思い浮かべますか?

  • マリオみたいな 2D/3D世界を進んでいくゲーム
  • アクションRPGとかオープンワールドとかステルスアクションとか
  • 格ゲーもいわゆる「対戦格闘アクション」
  • FPSもかなりアクションしてる

まぁ、キャラを行動(アクション)させれば全部アクションゲームですよね。

2D/3Dとかジャンプダッシュとか視点が1人称か3人称かとかいろんな要素がありますが、これらすべてに共通しているのは「 リアルタイム性 」です。
どれだけキャラを自由に動かしても、 ファイアーエムブレムのようなターンベースのゲームはアクションゲームとは言えないわけですし。

そう考えると、以下のようなものもアクション(とは言いづらいがリアルタイム要素を持っている)ゲームと考えることができます。

このように、リアルタイム性を持ったゲームは多岐に渡ります。
そして、「格ゲーは苦手だけど音ゲーは得意」とか「FPSには興味ないけどRTSはよくプレイする」とかいう人は必ず存在しているわけです。

このリアルタイムなゲームたちは、いったいなにが違うというのでしょうか?

ゲームにおける「操作」のプロセス

先程の謎には、人間がビデオゲームをプレイするときの「操作」のプロセスが大きく関わってきます。

  • ビデオゲームで遊ぶ時には、必ず「画面」や「音」などのインプットを受けとります
  • そのインプットに対してどう操作すればいいかを「脳」が判断します
  • その判断結果によって「指」が動き、「コントローラ」を操作します
  • コントローラからの入力をゲームの「プログラム」が受信します
  • プログラムが入力を処理し、また画面や音としてプレイヤーに返されます

なんかすごい当たり前の事を言ってますが、ここで伝えたいのはゲームの操作が「 とても多くのプロセスの繰り返し 」によって構成されているということです。

しかも、アクションゲームではこれを休む間もなく続けなければなりません。とても大変!!いつかはミスをしてしまうことでしょう。

  • 画面の見間違い
  • 思考時間の少なさによる判断ミス
  • とっさの操作のミス
  • 自分の操作がゲームに及ぼす影響の見積もり誤り

だからこそ、ミスなく手順をこなせたときに達成感があるし、熟達によってミスを減らしていく成長感があるわけです。

以上より、アクションゲームは「 リアルタイムな操作と判断が多層化されること 」で難易度を産み出していると考えられます。

すなわち、アクションゲームの本質は「 操作精度と判断速度 」と言えるでしょう。

アクションゲームの1つめの軸

リアルタイム性のないゲームでも操作判断の多層化の枠組は同じなのですが、別に操作精度や判断速度が求められているわけではありません。

思考時間がどれだけあってもミスすることはありますが、操作を行った段階ではそれが最善だと判断しているので、これは「 思考深度の難易度 」となります。
(これらは同じく「判断」という言葉でくくられがちなので注意すべきです)

アクションゲームが好きな人は、素早い操作判断をこなす(こなせるように成長できる)ことを楽しいと感じます。
一方、アクションゲームが嫌いな人は、素早い操作判断によってミスが発生することを嫌う完璧主義者なタイプが多いです。

逆を言えばアクション嫌いでも、操作や判断に十分な時間が与えられればリアルタイム性のあるゲームをストレスなく遊べるわけです。
例えば多くのタワーディフェンスにおいて敵の侵攻はリアルタイムに進行しますが、「一時停止」の機能によって操作精度・判断速度の問題に対応しています。

というわけで、「 どれほど早い操作・判断を要求するか? 」は、アクションゲームの大きな軸の一つなのです。

ゲームを算数の問題に例えてみよう

一桁の足し算を解くのは簡単です。ゲームとしては簡単すぎて達成感がないので、もっと難しくしてみましょう。

例えば「1分間で100問こなす」という制限を加えると、1問くらいは計算ミスしてしまうかもしれません。
1問に必要な時間が少なくなればなるほど、すべてを正確に解くのは難しくなります。これが先ほどのアクションゲームです。

また、「5桁の掛け算」に問題を変えれば、どれだけ時間があってもどこかで計算ミスをしてしまうかもしれません。 問題自体を難しくするアプローチは、リアルタイム性のないゲームに当てはまります。

この二つの変更を同時に加えたらどうなるでしょうか?「1分間で2桁の掛け算を10問」とか。

これが、2つめの軸です。

アクションゲームの2つめの軸

一口にアクションゲームといっても、その複雑性は様々です。

弾幕シューティングはとても高難易度なゲームが多い印象ですが、実はそのシステムに複雑性はほとんどありません。

FPSみたいに、視覚外から撃たれることはありません。敵から飛んでくる弾は全て画面上に見えています(速すぎて見えないときもありますが)。

格ゲーみたいに、対戦相手がこちらの動きを学んで行動を変えてくることはありません。同じ敵からは同じようなパターンの動きをする弾が飛んできます(ランダム挙動のときもありますが)。

多くのアクションゲームみたいに、重力もなければ慣性も物理演算もありません。移動レバーを倒せば倒しただけの動きしかしません(慣性あるゲームもないわけではないですが)。

対戦相手との読み合い、画面外の情報の推論、将来的な挙動の予測。
これらはただプレイを続ければ慣れるようなものではなく、「素早い操作判断」とはまた別軸の難しさを有しています。

このような、「 限られた時間内でどれだけ複雑な判断ができるか? 」が、アクションゲームの2つめの軸になります。

音ゲーはこれの最たる例で、「見えたまんまに押せばいい」だけなので「リアルタイムな操作が正しくできるか」というだけのゲームにです。
1つめの軸(素早さ)については高レベルなスキルが要求されますが、2つめの軸(複雑さ)としてはこれほど簡単なゲームはありません。
個人的な感覚ですが、アクションゲームと音ゲーで好き嫌いの相関はほとんど見られないのではないでしょうか?

多くの人に受け入れられるアクションゲームとは

アクションゲームと一言に言っても、「この2つの軸のどちらの話をしているのか」という認識が一致していないとディスコミュニケーションが発生してしまいがちです。

例えば自分はアクションゲームが苦手ですが、読み合いなどの複雑な判断が苦手なだけで、単調な動作を素早く行うのはそこそこ得意です。

ここで冒頭の問い。

なぜ私はアクションゲームが苦手なのにSplatoonを楽しんでいるのでしょうか??

Splatoonは3分間という限られた時間内で激しい撃ち合いが発生する「2つめの軸」が強いゲームではあります。
しかしこのゲームの目的は撃ち合いではなく「どれだけたくさんの床を塗れるか」というものです。

そこだけを切り取れば、相手プレイヤーの動きに狙いを定める必要も、攻撃を避ける必要もなく、自分のインクは狙った通りに床を染め上げていきます。

まぁ重力慣性や視覚外情報などの要素は残っているのですが、重要度が非常に高いというわけでもありません(マリオみたいに慣性をコントロールしないとクリアできないようなことはない)。

例えば自分は撃ち合いが絶望的に下手ですが、「どこを塗っておけば味方が有利に立ち回れるか?敵が不利になるか?」というサポート・牽制の役に回ることで、そこそこチームに貢献できるのです。

もちろんこのゲームはガンガン攻めるプレイだって可能です。
でもそうしなければ楽しめないのではなく、小さな子供が敵に目もくれず床を塗り回るだけでも十分楽しむことができます。

人によってプレイスタイルが切り替えられる、そしてそれによって要求されるアクション性が変化する。
このような要素が、Splatoonが多くの人に受け入れられた一因となっています。

つまりはどうすればいいの?

アクションゲームのそれぞれの軸がどれほど強いのか?システムやプレイスタイルによって各軸の幅を広げることができるか?を気にしておこう!!

ということです。

他のゲームを例にあげると、Risk of Rain は普通の2Dローグライクアクションですが、このゲームにはLoaderというキャラがいます。
このキャラは無敵スキルの時間がかなり長く、ある程度アイテムを揃えるとほぼほぼ無敵状態を作り上げることができます(それまでが大変だけど)。

普通に敵を倒していくアクションは複雑な要素を多く含むことが多いですが、ここに「無敵」という要素を加えるだけで複雑さを抑え、「どのようにして無敵状態を継続可能にできるか?」という別のゲームに変化させることができます。

アプローチは星の数ほどあると思います。PONGだってマリオだってアクションゲームだけど爆発的にヒットしてます。
みんなが楽しめるアクションゲームは、この先もまだまだ増えていくはずです。

それでは皆様、よきアクションゲームライフを!

執筆予定

書いてる途中

ネタ帖

  • 制限時間について
  • 謎解きとパズルの違いについて
  • 少年漫画と少女漫画の違いについて
  • ラーメン二郎について

なにか書いてほしいネタがあれば @theki までどうぞ。

実績機能について

「最近はどこのプラットフォームも実績機能が搭載されているし、やっぱり今時の流行りだよね!」
「実績がたくさんあればずっと飽きずにプレイできるし、もっともっと楽しんでもらえるはずだ!」
「よーし、自分のゲームにも実績機能を入れてみるぞ!!」

ちょっと待った。
その実績、本当に必要ですか?

とりあえず実績の定義から

分かってる人は読まなくてもいいです。

  • プレイヤーに対して、 ゲーム内における短期的な目標 (実績)をたくさん提示する仕組み
  • 目標を達成する=「実績を解除する」と表現
  • 現在の実績状況が一目で見れることが多い
    • 解除した実績一覧とか
    • 未達成の実績の解除条件とか
    • 実績の解除率とか

f:id:noraunagi:20170411234437p:plain ↑ぼくのPortalの実績ページ。普通にクリアする中で5個解除できた。あと10個残ってるのでクリア後もまだまだ遊べる…かも。

なんで実績が必要なの?

ゲーム開発者が実績機能を導入しようと思う理由(つまり実績のメリット)は、だいたいこんな感じでしょう。

  • 短期的な目標をたくさん提示することで、末永く飽きずに楽しんでほしいから?
  • 普通のプレイではやらないような実績を用意することで、また一味違ったプレイ感を味合わせたいから?
  • 単純に、実績が埋まっていくのを見るのを楽しんでほしいから?

意味不明なんで、一言でまとめると、

もっと長く遊ばせるため ですね。

そんなに長く遊びたいですか

実績機能がXBoxに搭載されてから早11年。実績のいい面と共に、悪影響の面もたくさん語られてきました。

その中で一番大きな点が 「実績解除が義務になってしまってダルい」 というもの。

  • クリアしたけど実績はたくさん残ってる!まだまだやることがある!遊べる!
  • でも、クリアし終わってストーリー的に進展もないのに、まだこのゲームを続けるの…?
  • でもでも、実績が残ってるってことは「ちゃんとクリアした」という感じがしないので、仕方なく続けてしまう
  • でもでもでも、そもそもこのゲームの体験に飽き始めてるし、もっと他のゲームやりたい…
  • でもでもでもでも、実績コンプしないとなんだか気持ち悪い…

という感じで、半ば義務感を背負いながらゲームをプレイしてしまうという問題が発生します。

そもそもゲームの評価とは

そりゃ「どんだけ楽しいか」に決まってるんですが。

でもさっき言ったように、「最初は楽しかったけど、クリアしてからもすでに飽きた(もう楽しくない)ゲームを義務的にプレイしてしまう」パターンもあるんです。

そういうケースも考えると、僕はゲームの評価は「そのゲームをプレイするのをやめた段階で、どれだけ満足感があるか」かなと思います。

例えば100時間プレイできるゲームがあるとして、最初の10時間は最高に面白かったとして、残りの90時間がクソゲーならそれはクソゲーですよね。
面白い時間が最初の90時間だとしても、最後の10時間がクソゲーなら、すごい嫌な気分でゲームを終えてしまい、その評価は最初の90時間に対して相当低いものになるでしょう。

例えば1時間で完全クリアするゲームがあるとして、その面白さが前のゲームと同じぐらいだとしたら?
楽しい時間はたった1時間でも、ずっといいゲームだったと思うはずです。
「楽しさ」は「時間」ではなく「 タイミング 」がとても大事なのです。

例えば100時間プレイできるゲームがあるとして、最後の10時間は超絶面白いけど、最初の90時間がクソゲーなら?
終わり良しは全て良し、と言いたいところですが、その場合は「最後までプレイできた人にとっては神ゲーだけど、ほとんどの人はクソゲーのまま途中で挫折する」が答えになります。

ここで注意しておきたいのは「 人間はゲームがつまらなくなった段階でプレイをやめる 」という点です。
楽しいうちはいくらでも遊んでしまうんです。そのうち勝手に飽きて、勝手に面白くなくなって、勝手に評価が下がる。人間は厄介ですね。。。

というわけで、評価や満足度の高いゲームを作りたければ、「 最高のタイミングでゲームを終わらせる 」必要が出てきます。

実績の話に戻ります

なんでこういう話をしたかというと、実績の持つ「目標」というシステムは プレイヤーがゲームをプレイし終わるタイミングを決める 役割を持っているからです。

ここで一つ、2パターンのゲームに対して実績という「大量の小目標」を加えたケースについて考えてみましょう。

RPGのように「ラスボスを倒す」という大きな目標が用意されているゲームの場合

このようなゲームは一度きりのプレイ体験を極力濃いものにすることでプレイヤーの満足度を高めるタイプのゲームになるので、 用意できる実績の解除条件は、「ダンジョンを50個クリア」「レベル50到達」「所持金100000ゴールド到達」などのゲームを通じた目標になりがちです。
ちなみに今てきとうに Skyrim の実績リストを見て書きました。

いくつかの実績を解除しながら普通にゲームを続け、いよいよラスボスを倒してゲームクリア!!……しかし実績はまだまだ残っています。 大きな目標を達成した後になって小さな目標を与えられても、それを超えるような達成感が得られるとは到底思えないので、大抵のプレイヤーはそれを無視してしまうでしょう。
むしろ、一部の完璧主義なプレイヤーは「すべての目標を達成しないと気が済まない」と考え、新しい体験のないプレイを延々と続けることになってしまいます。

ゲームのクリアがはっきりとしたゲームにおいて実績による過剰な目標があると、 「ゲームを終わるべき最高のタイミング」がズレてしまう という問題が発生するんですね。

ローグライクのように「何度も繰り返し遊ぶことが楽しい」クリア自体が小さな目標であるゲームの場合

このようなゲームは「何度やっても違うプレイ感で新しい体験が得られる」という点でプレイヤーの満足度を高める性質を持つため、 実績の解除条件は「〇〇を使わずにステージクリア」とか「1プレイ中に〇〇を10回行う」のような、1プレイを通じた目標が多くなります。

何度か挑戦しながら、ゲームを初めてクリア!!……しかし実績はまだまだ残っています。
しかし次のプレイではまた新しい体験が得られるとわかっているので、その上で実績による小さな目標が用意されていると、「次のプレイではこの実績を達成してみるか」のように、次のプレイをさらに促進することができます。
繰り返し遊べるゲームを何度もやっていると、まだゲームのコンテンツは残っているのにも関わらずプレイヤーが先に飽きてきてしまいますが、それとは別軸のモチベーションを用意することができるのです。

ゲームのコンテンツに全て満足するまでプレイヤーのモチベーションを保ち続けるような小目標を設定することで、 「ゲームに最大限満足した最高のタイミング」でプレイを終わらせることができる というメリットが発生します。

つまりはどうすればいいの?

「実績機能を用意すべきかはゲーム体験のタイプによって大きく異なるので、よく考えよう!」

ということです。

もちろんクリアがあるゲームは全て実績が合わないわけではなく、うまいこと合わせるやり方はいくらでも考えられます。

例えばオープンワールドのように「冒険することが楽しい」ようなゲームはストーリー上の大きな目標がありつつも他に面白さを提供する要素があるので、そういった部分に絡む実績(例えば普通のプレイヤーが行かないような未開の土地に行く実績など)は好まれやすいと思います。

また、その実績とゲーム内のコンテンツが連動っせ、実績解除=サブクエスト達成=プレイヤーが欲しがる報酬が得られる、というようにして実績解除のモチベーションを高めることも可能です。

一方、繰り返し遊べるゲームの実績はどれも「頑張れば一度のプレイで達成できるかも…?」というぐらいの難易度に設定しておく必要があります。 よくあるパターンですが、Risk of RainFTL: Faster Than Light のように「実績解除によってゲーム内の新しいコンテンツがアンロックされる」形式は、「繰り返しプレイする」という部分に新しい要素を加え続けることができるので相性がよいですね。

「実績を解除するモチベーションをゲーム内にも用意しておく」、というのはどのようなゲームにおいても有効な手段に成り得ます。

それでは皆様、よき実績解除ライフを!

このブログは、いったい?

このブログは、THEKI (@theki) という人が「おもしろさ」について考え、まとめているブログです。

だいたいはゲームの話になりますが、「おもしろさ」がある娯楽ならなんでも取り扱います。

「こいつはなんか『おもしろさ』ってやつに一家言あんのかよ?」という話ですが、一応過去にいくつかアナログゲームを作っていました。

こういったアナログゲームは、ほかのゲームと比較してシステムやメカニクスが論理的に生み出す「おもしろさ」の割合が高く、 そういうことを考える人にとって、自分の理論を確かめる最も確かなやり方の一つと言えると思います。 デジタルゲームはプログラムやサウンドが必要で制作コストが高く、漫画や音楽などその他の娯楽は感性的な部分に大きく左右されるためです。

ネタが無限にあるわけでもないので、「思いついたら書く」というスタンスです。 だいたいはTwitterでしゃべったことのまとめになると思います。

おわり。